前回、勢いでバイクを買ってしまい、目の前の愛車を前に「……私、乗れるのか?」と固まった話を書きました。
ちなみに、私のもとにやってきた愛車はVTR250。息子が「お母さんが乗れるように」と探してくれた、ちょうどいいサイズのバイクです。

だけど、免許を持っているとはいえ、30年ぶりに公道を走ることを考えると——やっぱり怖い。
不安でいっぱいの私が、まず決意したのは——教習所に通うことでした。
「必須じゃない」けど、絶対に受けたかった
ペーパーライダー教習は、法律で義務付けられているわけではありません。でも、私は絶対に受けようと決めていました。
問題は、近くの教習所が私の予定と全然合わなかったこと。仕方なく、車で片道40分ほどかかる自動車学校を探して、ようやく受け入れてもらえるところが見つかりました。料金は3回で1万5千円ほどでした。(2022年当時の金額です)
朝イチ教習、午後は仕事
スケジュールはなかなかハードでした。
3日間といっても連日ではなく、予定の合う日を選んで通いました。それでも1回1回がまぁまぁタイトで——朝早く家を出て、往復1時間半かけて1時間の講習を受け、そのまま昼から仕事へ。
正直、いちばん怖かったのは事故ではなく、「講習で転んで怪我して、仕事に行けなくなったらまずいな」という不安でした。自分のいわば趣味で、周りに迷惑をかけたらいけないという気持ちです。ここに来てもやっぱり「本当に乗れるのか?」とドキドキしながら教習所に向かいました。
息子の教習本でイメトレ
前日から、私は必死でした。
ちょうど息子がバイクの免許を取ったばかりだったので、教習本が家にあったんです。それを引っ張り出して、まずは頭の中で復習。
まずはブレーキの場所から確認しました。前輪ブレーキが右手、後輪ブレーキが右足。それから、クラッチの繋ぎ方。シフトペダルは左足で操作して、1速、2速、3速……とギアを上げていく。
手と足の動きをひとつずつ思い出しながら、30年前の記憶を必死に呼び起こして、イメージトレーニングを繰り返しました。
「30年ぶり?!」
いよいよ講習1日目。担当の先生に「30年ぶりに乗ります」と伝えると、先生の目が丸くなり、「30年!?」と思わず声に出ていました(笑)
そりゃそうですよね。私が逆の立場でもそう思います。なぜ今まで乗らなかったの?って(笑)
でも、そこで用意されていた教習車を見て、私は一気にテンションが上がりました。CB400SF——私の大好きな車種です。
昔からネイキッドが好きで、CB400SFの、あのテール部分がキュッと反り上がったフォルムが、たまらなくかっこいい。そして何より、20歳の頃の教習所で乗って「乗りやすかった」記憶がずっと残っていました。まさか30年後に、また跨れるとは。
不安が一瞬吹き飛ぶくらい嬉しかったのを覚えています。

発進、後ろ乗り、そして単独走行
ドキドキしながらバイクに跨り、まずは発進の練習から。エンジンをかけ、クラッチをつなぎ、ゆっくり動き出す——その感覚、体はちゃんと覚えていました。
次に、先生の後ろに乗せてもらってコースを一周。バイクの動きや目線の使い方をイメージで掴みます。
そしていよいよ、自分だけで乗って、先生の後をついていく走行へ。
そして、やらかす
順調に見えた矢先——坂道発進でやってしまいました。
半クラッチのタイミングを誤ってエンスト、そのままバイクが傾いて、ゆっくりと転倒。あっ、と思う間もない出来事でした。
幸い、大きな怪我はなし。バイクも無事でした。でも心の中では、「あぁ、やっぱり私、乗れないかも」——転ぶことは想定していたものの、やっぱり不安になりました。
2日目、3日目:S字、そして「我が家の下り坂」対策
2日目は、先生の後についてS字コースなどにもチャレンジ。ただ、停止するときにどうしてもふらついてしまい、先生に丁寧に指導していただきました。
3日目も、やっぱり停止のふらつきが不安要素だと言われました。止まるべき時に、ちゃんと止まれること。当たり前のようで、これがいちばん大事なんですよね。
そしてこの日は、私からお願いして特別練習も。実は自宅から出発するとき、いきなり下り坂からのカーブなんです。「ここが不安で……」と伝えると、下り坂の練習に付き合ってくださいました。自分の生活に合わせた練習ができるのも、ペーパーライダー教習のいいところだと思います。

それでも、意外と乗れた
不思議なもので。転倒したことより、「意外と乗れているじゃない、私」と思える瞬間のほうが多かった、というのが3日間を通しての本音でした。
30年ぶりのバイクは、思っていたよりずっと、体が覚えていてくれました。
次は、いよいよ公道デビュー——の前に、やることがありました。ナンバープレートの受け取りと、保険の名義変更。個人売買で買ったバイクの手続きを、自分でやってみた話です。
