前回は、ひとりで実家まで走ったあとも、バイクに乗ることが少しずつ義務のようになっていった話を書きました。

走る前は不安で、帰ってくれば「今日も無事に帰ってこれた」とほっとする。

それの繰り返し。

本当に私は、バイクで走ることが好きなのかな。

ただ、昔からの夢を叶えたかっただけなのかな。

そんな迷いを抱えながら、ひとりで地道に練習していた2022年の夏。

頼りたいときに思い浮かぶ息子は、県外で暮らしていました。

その息子が夏休みになり、バイクと一緒に船で帰ってくることになったのです。

迷いがすぐに消えたわけではありません。

でも、息子と一緒に走る日が来ると思うと、それまでとは少し違う気持ちで待っている自分がいました。

船で帰ってくる息子

息子が、住んでいる街で購入したバイクはCBR250R。

船にバイクを乗せて、海を渡って帰ってくる、と言うけれど。

帰省のときにバイクも持って帰ってくるなんて、思いつきもしなかった私。

息子も乗り始めて数カ月の、いわば初心者です。

船が着くのは、志布志港(しぶしこう)。

志布志市志布志町志布志。

……何回言うんでしょうね(笑)ゲシュタルト崩壊しそう。

そこから家まで、ノンストップでも2時間半ほど。

「大丈夫なの〜?」と心配で心配で。

「どうしても自分のバイクで帰って地元を走りたい」

学生なのでお金はないけど時間はあります。

船旅でゆっくり帰るのも今しかできないかなぁ、とも思いました。

フェリーが到着する日の朝。

息子はインスタのストーリーズに、船からの景色や途中の様子をちょこちょこと上げていました。

「あ、今このあたりなんだな」

そんなふうに見ながら、私は楽しみに待っていました。

ええ、もうストーカーです(笑)

息子のインスタのストーリーズ。志布志市志布志町志布志の志…

普段は遠くにいる息子が、バイクに乗って帰ってくる。

しかも今度は、ただ帰省してくるだけではなく、一緒に走れるかもしれない。

心配と楽しみが入り混じった気持ちで待ちました。

初めて、バイク姿で会う

その日は、息子が好きなかき氷屋さんの営業日でした。

たまにしか開かないお店です。

人気のお店ですぐに売り切れるので、どうせ間に合わないだろうと思って敢えて教えなかったのですが。

息子は自分で調べて開いていることに気づいたようで、行ってみようかな、と連絡をくれました。

自宅から10分ほどで行けるところ。

「私もバイクで行こうかなぁ」

「おぅ、来てよ!」

そのひと言で、かき氷屋さんの近くで待ち合わせることになりました。

お互いがバイクに乗っている姿を見るのは、そのときが初めて。

車で会うのとは、少し違います。

ヘルメットをかぶって、バイクにまたがっている息子を見る。

息子から見れば、私も同じ。

なんだか少し、照れくさい。

でも、並んだ2台のバイクを見たら、やっぱり嬉しい。

かき氷を食べて、帰り道の信号待ちで止まったとき、息子が言いました。

「まさか初めて走るのがお母さんになるとは思わなかった」

そう、息子も乗り始めたばかりでバイク仲間もまだいないとき。

「初めて一緒に走ったのはお母さん」という事実は、一生変わらない。

息子のバイク人生の1ページ目に、私が載ってしまった。

何だかごめーん!という気持ちになりました(笑)

しかも息子は、家に着いてすぐ友達と走りに行っていました。

本当ならその友だちが「初めて一緒に走った人」になるはずだったのに。

私がかっさらってしまった!(笑)

今度は、ふたりで実家まで

その数日後。

お盆を過ぎた頃でしたが、今度は二人で実家へ行き、お墓参りをすることになりました。

かき氷屋さんまで一緒に走った次は、実家までのツーリングです。

2台で一緒に走ることが、すごく嬉しかった。

しかも一緒に走るのが息子なので、心強い。

この前走った実家までの道のりだったことも、少し安心でした。

ひとりで走るときは、後ろの車や交差点、次に曲がる場所のことばかり気にしていました。

でもこの日は、一緒に走る息子がいる。

「ひとりじゃない」

そう思えるだけで、いつもの道が少し違って見えました。

お墓参りを終えると、

「このあと、どこに行く?」

という話になって。

「塩ソフトクリームだって。

ここ行きたいね」

「よし、行ってみよう」

閉店時間に間に合うかな、と少し気にしながら走って、たぶんぎりぎりの時間に到着。

真夏のツーリング。

そこで食べた塩ソフトクリームは、本当においしかった。

塩ソフトクリームのお店の前に並んだ2台

ツーリングの途中で、ちゃんと目的地に寄って、おいしいものを食べる。

それが、ずっと私が思い描いていたツーリングらしい時間でした。

海で、2台並べて

帰りには、近くの海にも寄りました。

そこで2台のバイクを並べて、写真を撮りました。

その写真は、今でもとてもお気に入りです。

海辺に並べた2台のバイク。お気に入りの一枚

あの日の私は、ただバイクに乗り始めたお母さんではなくて。

息子と一緒に走る、リターンライダーになれていたのかもしれません。

息子は、この日のツーリングの様子もインスタのストーリーズに上げていました。

そこには、走っている私の後ろ姿と一緒に、

「リターンライダーの母と」

という文字。

ちょっと恥ずかしい。

でも、ちょっと嬉しい。

ひとりで走っているときには、見つけられなかった気持ち。

誰かと一緒に走ると、また違う楽しさがある。

そんなことを、息子との初めてのツーリングで知りました。

夕暮れの海を前に並んだ2台

次回は、ジェットヘルメットからフルフェイスに買い直した話。

そして大晦日、マクドナルドの駐車場でやらかしてしまった、失敗談です。